One Day I'll Fly Away


by ko-kojien
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僕を悩ませる夜風

その日…僕は疲れていたのです。

いつもと同じように仕事は夜遅くまで、
まるで農耕馬のように働く毎日。

失われた自由を返してくれよ…。

そう叫ぶものの、所詮は農耕馬。
声は決して届かない。

ひひ~ん!もしくはぶひひ~ん!としか聞こえない。
むしろ、「おぉ、そうかそうか。楽しいのかお前。」
とさえ聞こえているかもしれない。

もはや不毛な大地を耕すしかないこの人生さ。

そう…僕は疲れていたのです。

その日はちょうど金曜日でした。
街は1杯引っ掛けたおっさんたちで溢れかえっていました。

溢れかえっていたというのは言い過ぎました。
雄大な山々に囲まれたここは松本。
飲み屋、そんなにありません。

だから余計酔っ払いが目に付く。
やっと仕事が終わって帰路につく途中、
なぜか万歳をしている集団にかちあいとても暗くなりました。

やっぱり…僕は疲れていたのです。

僕は毎朝自転車(超かっこいい)で通勤していて、
これが1日の楽しみの1つでもある。

朝、信州の清々しい空気の中、
颯爽と自転車(超かっこいい)で走り抜ける。
都会ではまず無理な、極めて贅沢な出勤なのです。

そして、夜。
ほとんど街灯も人通りも絶え、もうすでに冷気を帯びた空気の中、
寒々とした気持ちで自転車(超かっこいい)で帰るのです。

かなり終末を感じさせる帰宅の風景なわけですが。
通勤時間はだいたい15分-3曲から4曲聞く間のドラマ。

街中を過ぎ、「白線流し」で有名な川を越え、
家に通じる最後の直線、その名も「やまびこロード」-およそ1km。

その終盤に僕は…奇跡を見たのです。

いつも何気なく通り過ぎていくのですが、
その幹線度道路沿いにはポツポツと飲食店が軒を連ねている。

どれも家族向けのレストランがほとんどで、
生き残りをかけて必死に幟を立ててアピールをしている。

その中に、妙に風をはらませて、
僕に訴えてくるヤツがいたのです。

"やわらかいなり"

………
なにがやわらかいなりか?

数秒の絶句の後、
僕は思わずコロ助の口調で聞き返した。

何が…何がやわらかいのだろう。

頭がはちきれんばかりの僕をよそに、
その幟は夜風に悠然と靡いている。

家まではあと、100m。

交差点の段差を軽くいなしたその瞬間。
判明しました。

"やわらか いなり"

であることに…。

そーいえばすし屋だったーーーーーー!

かなりのしてやられた感を味わい、
その夜僕は泥のように眠りました。

なぜかって?

だって…僕は疲れていたのです。
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by ko-kojien | 2007-10-06 00:44 | Essay